COLUMN
同軸ケーブルとLANで何が違うの?
自主放送システムを比較
2019年11月7日
- 校内放送設備
自主放送システムは、映像を建物内で配信・視聴する館内用の放送設備です。
「ピーン、ポン、パン、ポーン♪」から始まる音声放送と違って、このシステムは「見える校内放送」と呼ぶとイメージしやすいかと思います。
このコラムでは、この映像による館内自主放送を実現する方式を2つ比較してみます。
同軸ケーブル方式の自主放送システムとは
1つ目は、PCや監視カメラ、ビデオカメラ、BD/DVDプレーヤーなどからの出力された映像信号をOFDM変調器に入力し、「同軸ケーブル」に出力するOFDM自主放送システムです。各教室の同軸ケーブル出力端子とテレビをF型端子で接続します。OFDMとは、デジタル信号の変調方式の一種でOrthogonal Frequency Division Multiplexingの略で日本語では直交周波数分割多重と訳されます。複数の搬送波を周波数の直交性を利用して、互いに影響しない搬送波を重ね合わせていくつも送るという「直交周波数」での多重分割という名前がついています。
学校施設では、2008年スクールニューディール政策によってデジタルテレビが小中学校を中心に普及し、従来使用している音声放送卓に加えて、アナログ機器(アナログテレビ)と接続し利用していくために、HD/SDエンコーダー内蔵のOFDM変調器が導入されていきました。
この頃の普通教室の校内LAN整備率は62.5%(学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果/文部科学省)だったため、テレビの活用を広げるために同軸ケーブル方式の放送設備が主流でした。
OFDM変調器は、耐用年数は10年~15年と長い期間、使用できるのも特徴のひとつです。地上デジタル放送移行後、2015年4月末のデジアナ変換サービス終了などの影響があった中でも、「校内放送のデジタル化」は進んでおり、同軸ケーブルを利用した自主放送システムを利用されている学校や公共施設が多くあります。
同軸ケーブル方式の放送視聴方法
・基本的に施設内へは一斉配信となり、複数の放送を同時に配信できます。
・各教室のテレビには受信機端末をつける必要はなく、特定のチャンネルに合わせると放送を視聴することができます。
・映像画質は、HD(ハイビジョン画質)かSD(標準画質)が主流のようです。
LAN方式の自主放送システムとは
2つ目は、ビデオカメラからの映像信号をパソコン等によって、「LANケーブル」で配信できるデジタル信号に変換して、サーバーから校内LAN経由で複数の教室の受信機にマルチ送信する校内LAN方式です。
みらいスクールステーションの校内ライブ放送機能は、LAN方式に区分されます。
各教室の専用の受信機(STB=セットトップボックス/みらいスクールステーションのメディアボックス)と校内LANケーブルをつなぎ、受信機とテレビはHDMIケーブルかコンポジット/RCAケーブルで接続します。
近年は、普通教室の校内LAN整備率が90%を超えてきており、放送設備の老朽化に伴って、電子黒板など教育ICTの整備と同時に、みらいスクールステーションのようなLAN方式の放送機器への変更を検討される学校も増加しています。
LAN方式の場合は、大がかりな設備が不要であるため、例えば放送室以外から配信する際に、アナログAV卓やデジタル変調器ラックに収納されるマルチスイッチャやコネクターパネル、電源制御ユニット、エンコーダーといった放送設備や逆送機器を持ち運びする手間がかからない点が特徴です。
汎用のデジタルビデオカメラとノートパソコンを校内LANにつながる場所に持ち運べるため、あらゆる場所が放送スタジオに早変わりします。その場所からフルハイビジョン(FHD)画質を各教室に配信するため、大画面化が進む教室のディスプレイでも高画質で高品質な放送を視聴できます。
学校のICT化の進展により、校内LANとともに電子黒板やデジタルテレビやプロジェクターが整備された学校や自治体では、校内LANと大型提示装置を教育目的に加えて校内情報連絡に兼用する動きがあります。1つのシステムで授業と情報配信の両方の用途で利用できることから、それぞれの設備を別々に導入するよりも効率的且つ効果的な設備投資が期待できるのが導入メリットといえるでしょう。
LAN方式の放送視聴方法
・映像はデータ送出され、配信用サーバーから、指定した受信機に向けて指定配信されます。
・各教室のテレビには受信機が映像信号を受け取ると、自動でテレビ電源を立ち上げて映像を表示します。
・各教室では、チャンネル合わせや放送を受け待ちする必要はありません。
・映像画質は、FHD(フルハイビジョン)まで配信可能です。
学校でのLAN方式の利用状況は?
従来のAV放送卓でできていた映像放送をみらいスクールステーションで代用している学校では、先生による利活用だけでなく、操作方法がシンプルで、あらゆる場所が放送スタジオになったため、児童・生徒が自主的に生放送をライブ配信したり、動画(mp4やmpeg)を制作しそれらを教室に配信する事例が増えています。
お昼には学校ニュースや委員会からのお知らせ、全校朝礼や校長挨拶を教室で視聴するといった日常利用のほか、体育館やグランドで行われる運動会などの学校行事を各教室にライブ中継するなど多彩な取り組みが生まれています。
AV放送卓からの同軸ケーブル方式による映像配信の場合は、教室側で特定の放送チャンネルに調節する必要がありましたが、校内LAN方式になると配信するPC側の操作でテロップ編集や配信先の指定ができるようになったほか、教室の受信機を通じて大型提示装置の電源管理まで一元的に制御できるようになったため、校内テレビ放送の運用にかかっていた手間が減った、という声もいただいています。
校内ライブ放送機能の活用事例集は、PDFや動画でご覧いただけるほか、製品デモも動画で用意しています。是非チェックしてください。
<みらいスクールステーションの活用・実践事例集>
https://www.mirai-school.jp/case/
まとめ
このコラムでは、映像放送設備が老朽化した際によくご質問をいただく、同軸ケーブル方式とLAN方式の違いをご紹介しました。
校内LANの整備が進んだ現在では、多くの学校で2つの放送方式を選択できるようになりました。
みらいスクールステーションは、校内LANと大型提示装置を有効活用することで授業と情報配信に同じシステムで対応します。効率的な設備投資や教育ICT整備を進める際には、是非LAN方式によるみらいスクールステーションをご検討ください。
予算に合わせた段階的な拡張整備をご提案しています。
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