運動会をパブリックビューイング?
校内ライブ放送を実現するICTシステム

2019年10月10日

  • 校内放送設備

最近、学校の運動会の一風変わった取り組みが話題になっているのを知っていますか?
メディアが運動会シーズンになると報じるのは、“イマドキ”の運動会。
ICTシステムを活用することによって、グラウンドの演目の様子を校舎内に生中継するパブリックビューイングを実現した取り組みです。
保護者は、教室や体育館の大型スクリーンで鑑賞し、我が子の出番になると屋外に出て応援するような光景です。
このコラムでは、運動会のような学校行事にICTシステムを活用する事例を紹介しつつ、それを実現する方法について触れていきます。

朝早くから、ベストポジションを確保!

運動会の主役は、子どもたちです。このコラムでは、その裏で頑張る、保護者たちを見てみましょう。

・朝早く起きて子どもと自分たち保護者の分のお弁当を作る。
・子どもの出発を見送ってから、学校に向かいレジャーシートを敷いて良い場所を確保(キープ)する。
・お昼になると、砂埃が舞う中でもお弁当を広げて非日常の雰囲気を楽しむ。

このような光景は、昭和の頃から基本的に変わりありません。
平成初期になると、市販ビデオカメラが小型化され、“パスポートサイズ”というキャッチコピーも浸透しました。片手で持ち運びできるビデオカメラは、学校行事を参観する親たちの行動に変化を生みました。当時のテレビCMでは、運動会のシーンが多用され「我が子がゴールテープを切るシーンを撮りたい!家族で何度も見たい!」という親たちの”消費者インサイト(表に出ない内面的な本音)”を見事に突いたこともあり、各世帯に急速に普及しました。

運動会の現場では、我が子の健闘を記録に残そうと“ハンディカム”を片手に校庭各所を駆け巡る親たちの奮闘が際立つようになりました。この頃から、撮影のベストポジションをキープするために、前夜から開門までの時間は列をなして並び、運動会が始まる頃には疲労の色がにじみ出ている方々も登場しました。

さらに平成後半から令和に入ると、スマホの普及も相まってビデオカメラを持っていない層も、この場所取りに参戦するようになりました。
もはや、徒競走(かけっこ)のゴール地点で一斉にカメラを構える保護者層は、さながら記者会見場のマスコミのように映ります。

ベストポジションは、なかなか取れない

人が溢れる背景に、少子高齢化の影響も?!

東京近郊などに立地する学校では、校庭の観覧スペースに十分な広さが確保されていないことも多く、保護者が全員入りきらないという事象が課題になっています。学校の敷地内に入れないので、沿道にまで人が広がります。最前列をずっと陣取って、立ってビデオ撮影を続ける人がいると、いつトラブルに発展してもおかしくない状況が続いています。
この環境での場所とりは、より熾烈を極めるため、学校では独自の参観ルール(場所とり禁止。競技ごとにゆずりあいなど)を設けて保護者に周知する取り組みが行われています。

子どもの晴れの姿を拝もうと、学校には親以外にも祖父母や兄弟姉妹も集まり、たくさんの方々が運動会に訪れます。小さなお子様連れやご高齢の方には、激戦区のベストポジションに足を踏み入れるには勇気がいるものです。

いま小中学校に通っている児童生徒たちは、年齢別人口数で最も多い65歳~69歳(この中に団塊の世代も含まれる)の孫にあたることも多いのが特徴です。国内人口統計(総務省統計局/2017年1月)によると、15歳未満の「年少人口」は1,575万人に対して、65歳以上の「老年人口」は3,471万人で2.2倍に達します。この高齢層は、とても元気で健康的で時間もあります。孫の運動会を楽しみに学校に足を運ぶ方の数も多く、「敬老席(テント)」は常に満席か、増設しても全員が座れないことも課題といえます。

他方、人が溢れる要因のもう1つに学校の統廃合や都市再開発といった地域の人口変動もあります。
少子化の影響で学校の統廃合が行われ、1校当たりの子どもの数が増加した地域や、都市の再開発によって人口が急増した地域でも、運動会の観覧スペースが問題として浮上しています。

学校の負担も増加

さまざまな層が来校される学校行事では、その対応にあたる先生方の負担も図り知れません。

・運動会の演目をタイムスケジュールどおりに円滑に運営すること
・子どもと参観者に、体調不良者やけが人が出ないように注意を払うこと
・万が一、体調不良者やけが人が出たら迅速に対処すること
・場所の陣取りも含めて、マナーの悪い参観者がいたら慎重に注意しなければならない など

運動会は、5月~6月、9月~10月に開催されるケースが多く、近年では気象変動の影響でこの時期でも気温30度を超えることも珍しくなくなりました。校庭は日陰になる場所が少ないため、炎天下では熱中症のリスクが高まり、この対応にも追われます。

小さなお子様連れから、ご高齢者までいらっしゃる学校行事では、運動会の運営以外にも保護者の参観マナーや体調管理も気にかける必要があります。

校内放送で3密を回避

ICTシステムを活用して運動会運営

現在、国内各地の学校では、交付金を活用して冷房設備の整備が急ピッチで進められています。さらに、教育ICTシステムの環境整備もじわりじわりと進められています。

・普通教室の冷房設備は、令和元年度末に設置率が90%に達する見込み
・普通教室の大型提示装置整備率は、51.2%(平成30年時点)
・普通教室の校内LAN整備率は、89.8%(平成30年時点)

これらの環境が揃っている学校から、“運動会の運営に、冷房設備と大型提示装置と校内LANを有効活用できるのではないか”という発想が生まれ、にわかに話題になっているのが『運動会パブリックビューイング』です。パブリックビューイングとは、別の会場で行われているスポーツを特設会場で観戦することを指します。サッカーやラグビーワールドカップ、オリンピックなどでこの言葉が定着してきました。

学校の運動会では、コラム冒頭で記載したとおり、「屋外の様子をビデオカメラで撮影し、校内LANを介して、冷房の効いた教室等の大型提示装置に生中継する取り組み」です。ICTシステムには、みらいスクールステーションの校内ライブ放送機能を使用します。

炎天下での運動会で利用された学校では、「小さなお子様連れやご高齢者が自然と集まり、助かったと大変喜ばれていた」「後日、PTAや議会議員の方々から謝辞をいただいた」そうです。

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(参考:文部科学省「公立学校施設における空調(冷房)設備の設置状況について(令和元年9月1日現在)」より引用)
「ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金」(平成30年度補正予算)の対象となった学校種(公立の小学校,中学校,義務教育学校,中等教育学校の前期課程,特別支援学校,幼稚園等)における普通教室の全保有室数427,187室のうち,空調(冷房)設備を設置している室数は334,936室であり,設置率は78.4%(前年60.2%,18.2ポイント増),特別教室等の全保有室数413,843室のうち,空調(冷房)設備を設置している室数は209,055室であり,設置率は50.5%(前年44.0%,6.5ポイント増)であった。なお,普通教室については令和元年度末に設置率は9割に達する見込みである。
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ご高齢の方々にとっても嬉しい運動会となった

あらゆる学校行事に校内ライブ放送

みらいスクールステーションは、大型提示装置と校内LANを有効活用し、授業と情報配信の両方に対応する教育ICTシステムです。
大型提示装置につなぐ専用端末「メディアボックス」が、授業中のデジタル教材の表示だけでなく、ビデオカメラ映像を映し出す役割を担います。
校内ライブ放送機能は、校内LANに接続できる場所であれば、どこでも放送スタジオに早変わりするのが特徴で、配信先の指定やテロップ配信、同時録画なども行えます。
先に紹介した運動会での活用事例では、教室にいてもテロップ表示によって運動会の進行状況がわかるため、我が子の出番になったら屋外に出る、演目が終了したら戻るという、人の循環創出にも寄与できていました。

どこからでも配信できるため、運動会以外にも、各学校の創意工夫によって様々な活用事例が誕生しています。

・オープンキャンパスのイベントホールに入れない方々のために、ホールの様子を別教室に配信
・体育館の研修会の様子を、各部会の教室(サテライト会場)に配信
・朝の全校集会を学園長室と各教室で実施。移動時間の削減と集団感染症予防の効果を実感
・学校の日常では、お昼の放送に利用 など

校内ライブ放送機能の活用事例集は、PDFや動画でご覧いただけるほか、製品デモも動画で用意しています。是非チェックしてください。
<みらいスクールステーションの活用・実践事例集>
https://www.mirai-school.jp/case/

まとめ

このコラムでは、ICTシステムを授業だけでなく、運動会などの学校行事の運営手段に有効活用することで、さまざまな参加者層への配慮を実現し、運営負担の軽減にもつながるような先進事例をご紹介しました。

校内ライブ放送は、便利なシステムである一方で、運動会での利用にあたっては賛否両論があります。
・主役である子どもたちは、屋外に残したまま
・頑張っている子どもたちを空調の効いた屋内で見るのはどうなのか
・運動会の開催時期を見直した方が良い などなど。

しかしながら、狭い参観スペースや場所取りの苦労やマナー、熱中症や幅広い年代層への配慮などの課題があるのも事実です。
このような課題解決の手段の1つとして、是非みらいスクールステーションをお役立てください。

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